牛嶋均|Hitoshi Ushijima


<屋根があれば、どこでも家|my own roof, makes my home>

2013年

 H90×W200×D170cm

ダンボール、フライパン等

協力:今西勇太、山内祥太

 簡単に段ボールで家を造ろうとすると、壁は比較的簡単にできる。周囲が囲われて外界と自分自身の空間が分けられると安心する。でも、雨になったら濡れるのは嫌だから屋根を作る。(もっとも段ボールなので雨にはとても弱いが)屋根が在って始めて家と呼べる気がする。壁だけでも暮らせないことはないし、雨の少ない乾燥した地域ならそういう家で暮らせるのかもしれない、もっとも、強い日差しを遮る為の何かが必要になるかもしれないが。

 「建築家なしの建築」という本の中に藁葺きの屋根の下に、一昔前のベトナムで何人もの人が入って持ち上げて本当に引っ越ししている写真が出てきます。その写真をみると屋根があるところが自分の家!という家主の主張が聞こえてくる気がします、だからこの屋根ごと引っ越すんだ。(実際は、屋根を作るのが大変だから?でしょうか)

 雨の日に傘を広げると、傘の下には自分だけのプライベートな空間が生まれます。これは、家ではないが家に近い。傘がもっと大きくて自分の足下ぐらいまで覆ってしまうなら、もう家と主張してもいいと思う。自分が立っている場所があって、自分の屋根があって、そこはもう自分の家。まあ、寝たりするには、まだ工夫が必要だが、思索したり、瞑想したりするには十分。

  そう思って、持ち運べる板を2枚用意してみました。中に入って持って行けるように持ち手もつけて貰いました。これを持って、街に出て立って入れば、そこはもう家。地面におろせば、寝る事も出来ます。体験は自由です。よろしければ、あなたも体験してみて下さい。

制作プロセス
制作プロセス

牛嶋均|Hitoshi Ushijima

1963年 福岡生まれ

2008年 「 シェルター×サバイバル」(広島市現代美術館/広島)

2009年 「愛についての100の物語」(金沢21世紀美術館/石川)

2011年 「黄金町バザール」(横浜市/神奈川)