あとがき

 彫刻表現に於ける多様性を今展覧会のコンセプトとして展覧会を企画し、「彫刻」とは何かを見つめ直す。企画者4人それぞれがコンセプトを元に作家に声を掛け、その集合体として「彫刻のコスモロジー」を展開した。

 一見すると彫刻とは無関係ともとれる表現方法、素材、内容の作品、いわゆる彫刻作品と言われるもの、またはその中間に在るような作品を同時に展開する場所ができた。

 私からは池崎拓也氏、遠矢麻野氏をお声掛けさせて頂いた。両名とも自身の作品を「彫刻」とは呼んではいないのだが、作品からは「彫刻」を感じる事が出来る。空間にまつわる事、または立体である事。これらの要素を孕んでいるからそう感じるのだろう。逆にそれらの要素が、なければ「彫刻」とは呼べないだろうか。

  様々な彫刻にまつわる作品が同じ空間に存在することによって、朧げに彫刻の本質を見出し、疑問への解答に繋がる展覧会を目指した。

 そもそも鑑賞者にとって「彫刻」が何かは興味の対象ではないかもしれない。展覧会を楽しんで頂きながら、少しでも「彫刻」について感じる事出来る展覧会となっていたのなら、今回の試みに価値があったと言えるだろう。


中西祐喜