牛島均
牛島均
展覧会を終えて(牛島均編)
展覧会を終えて(牛島均編)
大谷俊一
大谷俊一
展覧会を終えて(大谷俊一編)
展覧会を終えて(大谷俊一編)
渡辺秀亮
渡辺秀亮

「金沢という場」 

 

 今回の展覧会で、少し上の世代の作家をセレクトしたのは、積み重ねられた経験が生み出す力は非常な説得力を持つからであり、世代間の交流を含め、年代の幅を増やすことにより、表現の多様性へとつながる一つのアプローチになるからである。

 そしてなにより、二人の作家が金沢での発表の経験があり、作品づくりのプロセスをともにしたことがあるため、金沢という場(空間)を考慮にいれての表現に期待したからである。

 

 牛嶋 均氏は、カラフルなパイプを組み合わせた幾何学的な構造物である「遊具」の要素を作品の中に取り入れた「遊具であり、彫刻でもある作品」を制作している。また、基地作りのワークショップなど、人々の集う場所をつくり出し、関わる人で次々と変化していく空間を創出する。関わる人々を巻き込み、展開することで形作られて行く作品は、鑑賞者それぞれの中で形成されていく。

 

 大谷 俊一氏は、素材にこだわることなく様々な材料を使って、自由に表現する手法で注目され、金属を素材とした彫刻作品や、時の流れや環境を取り込んだインスタレーションを展開している。日常生活の様々な時間の連続や記憶、偶然あるいは必然的に出会った「その場所」で感じる自身の体験と、その地域や関係する人達によって作品が生みだされていく。記憶や場所などの「環境」と「彫刻」の関係性を再認識させ、その場にしか現れない作品を構築する。

 

 今展覧会において、参加したすべての作家が表現の多様性を見せながら、この金沢という場で「彫刻」を通して鑑賞者と空間を作り上げてくれるであろう。

 

 <渡辺 秀亮>